受賞・プレスリリース
- 2026.10.13
蛍光イメージングとMRIの両方で使えるイメージング材料を新たに開発
東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 化学生命科学研究所の岡田智准教授、九州大学 先導物質化学研究所のアルブレヒト建 准教授、大学院 総合理工学府 博士課程3年の安楽滉允、量子科学技術研究機構 量子医科学研究所の住吉晃 主幹研究員、産業技術総合研究所 分析計測標準研究部門の細貝拓也 上級主任研究員らの研究グループは、水に溶けて明瞭に発光する新たな「水溶性発光ラジカル」の開発に成功しました。さらに、この分子が「蛍光イメージング(FI)」と「核磁気共鳴イメージング(MRI)」という2つの異なるバイオイメージング技術の両方に応用できることを世界で初めて実証しました。
バイオイメージングにおいて、FIは高感度で細胞・分子を精確に追跡できるものの、撮像できる深さが比較的浅いという課題があります。一方、MRIは理論上、撮像できる深さに上限がないものの、感度が比較的低いという課題があります。両者を組み合わせた相補的な診断が期待されていますが、一般的な発光ラジカルは水に溶けず、溶けても水中で発光性を失うものがほとんどであることが大きな障壁でした。
本研究では、比較的安定な有機ラジカル(TTM)に対して水溶性と発光性を促す置換基を導入した分子(TTM-trisTP3BおよびTTM-trisTP9B)を設計・合成しました。開発された分子は水中で明確な劣化が見られないほど高い安定性を示し、約690 nmの深赤色発光とMRI造影に必要な常磁性緩和促進効果(PRE効果)を両立することを確認しました。
実験では、この水溶性発光ラジカルを用いることで、HeLa細胞(ヒト子宮頸がん由来の細胞)の蛍光イメージング画像とT1強調MRIファントム画像の取得に成功しました。金属を含まない(メタルフリーな)単一の分子でFIとMRIの両方に応用できる本材料は、がん細胞への集積機能の付加や発光効率の改善を経ることで、FIやMRIをはじめとする複数のバイオイメージング手法への臨床応用が期待されます。また、本研究の分子設計指針は、細胞内の微小な磁場や温度変化などを検知する量子センシング技術にも応用できる可能性があります。
本研究成果はWiley社発行の国際学術誌「Advanced Science」に2026年9月28日(月)午後3時(日本時間)にオンライン掲載されました。
論⽂情報
| ●掲載誌 | : | Advanced Science |
| ●掲載日 | : | 2026年9月28日 |
| ●タイトル | : | Water-Soluble Luminescent Trityl Radical for Fluorescence/Magnetic Resonance Dual-Modal Imaging Probe |
| ●著者 | : | 安楽滉允・岡田智・住吉晃・松田健志郎・中村和宏・細貝拓也・アルブレヒト建 |
| ●DOI | : | 10.1002/advs.77710 |
関連情報
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| ■ | プレスリリース | : | プレスリリース 蛍光イメージングとMRIの両方で使えるイメージング材料を新たに開発--水に溶ける「光るラジカル」が二つのイメージング技術に応用できることを世界で初めて実証--(PDF) |
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■中村・岡田研究室 |
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