東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所

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受賞・プレスリリース

  • 2026.06.10

有用な酵素を世界最小・最速で開発する新技術

酵素は食品や洗剤をはじめ、医薬品や化学製品、燃料などの製造に多く使われており、環境負荷の低い触媒としてその利用範囲は世界的に増大しています。

東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 化学生命科学研究所の北口哲也准教授、シュ・ハク(朱博) 助教は、名古屋大学 大学院生命農学研究科のダムナニョヴィッチ・ ヤスミナ(Damnjanovic Jasmina)准教授、中野秀雄教授、ムナウィーラ・カルハリ(Munaweera Kalhari)博士後期課程学生、カマーニャ・マウリツィオ(Canagna Maurizio)博士、伊藤智和准教授らの研究グループ、埼玉大学 大学院理工学研究科の根本直人特任教授と共同で、産業的に有用な酵素の1分子スクリーニングを可能にする新規な酵素選択システムSMART法を開発しました。

このシステムの特徴は設計図(mRNA)と製品(酵素・タンパク質)、さらにこの標的酵素反応に応じて目印をつけるヘルパー酵素を1分子レベルでセットにすることです。通常、酵素などタンパク質を作ると設計図から離れてしまいますが、この技術では「設計図」と「製品」を強力な糊でくっつけたままにします。そのため、膨大な標的酵素変異体のうち、活性を有する標的酵素分子が含まれる複合体だけにヘルパー酵素の作用により目印がつけられることで、その遺伝子までもが一緒に"釣れる"のです。同様の技術はこれまで特定の分子に結合するペプチドや抗体で開発され、実用化されていました。本研究では酵素、しかも産業用有用な酵素酸化還元反応を行う酵素に対して、その酵素活性を指標とした世界最小で最速の「酵素分子選択システム」を世界で初めて開発しました。

本研究成果により、産業的に「優れた性質をもつ有用酵素」が従来の手法より短時間・低コストで開発可能になると期待されます。このヘルパー酵素は、さまざまな産業用酵素に応用可能であり、食品、医薬、診断薬さらには、化学産業における酵素利用を拡大することが期待されます。

本研究成果は、雑誌『ACS Synthetic Biology 』のASAPに2026年2月23日にオンライン公開されました。正式版は4月に掲載予定です。

論⽂情報

●掲載誌 ACS Synthetic Biology
●掲載日 2026年2月23日
●タイトル Harnessing the Power of SMART Single-Molecule Display for Enzyme Evolution: A Focus on Oxidase
●著者 Munaweera Kalhari・大嶽 七菜・Hannah Patricia Halim・池田翔・朱博・ Canagna Maurizio・伊藤智和・北口哲也・根本直人・中野秀雄*・Damnjanovic Jasmina*
●DOI 10.1021/acssynbio.5c00968

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北口研究室
生命理工学院 - 生命理工学系
総合研究院

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