東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所

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受賞・プレスリリース

  • 2026.02.19

金属含有色素を光学活性にするナノ道具

東京科学大学(Science Tokyo)物質理工学院 応用化学系の橋本義久 大学院生(博士後期課程2年)、同 総合研究院 化学生命科学研究所の田中裕也 助教と吉沢道人 教授らの研究グループは、キラルなナノ道具を作製し、それを活用して非キラルな金属含有色素に強い光学活性を付与することに成功しました。

生体では、光学活性なアミノ酸からなる柔らかい脂肪族キラル空間を利用して、優れた分子識別や変換を行っています。一方、人工的な芳香環[キラル空間は、生体にない硬い骨格に由来した高い機能が期待されますが、その合成や機能はほぼ未開拓でした。そこで本研究では、金属含有色素を効率的に内包できる新たな芳香環キラル空間の創出とその機能開拓を目指しました。

研究グループはまず、軸不斉を持つ芳香環骨格ビナフチルと親水性側鎖からなる湾曲型の両親媒性分子を作製しました。この分子は水中で自発的に集合して、約3ナノメートルの球状キラルカプセルを形成しました。このカプセルは水中で、金属含有色素を効率良く内包し、その内包体は色素に由来する強い光学特性を示しました。特筆すべきことに、通常、光学活性化が極めて困難とされる平面で剛直の色素に対して、本手法は簡便かつ効率的に光学特性を供与できます。さらに本研究では、熱刺激によって内包体の光学特性を不可逆的に制御できることを見出しました。この新たな手法は、多段階の合成や分離を経ずに、金属含有色素へ光学特性を導入できるため、優れた光機能材料や不斉触媒反応への応用が期待されます。

本研究成果は、米国化学会(ACS)の主幹化学雑誌「Journal of the American Chemical Society」(オンライン版;オープンアクセス 6月15日)に掲載されました。

論⽂情報

●掲載誌 Journal of the American Chemical Society
●掲載日 2025年6月15日
●タイトル Chiral Aromatic Micelles as Chiroptical Host Tools for Large Metallodyes in Water
●著者 橋本義久・田中裕也*・ Si-Yu Liu・忍久保洋・吉沢道人*
●DOI 10.1021/jacs.5c06179

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